パワーメタル的生活

パワーメタル中心に歌詞の翻訳を細々と、ほぼ備忘録用

Sabaton「Stalingrad」和訳

画像はSabaton Wikiより引用

トラックリスト

  1. Primo Victoria
  2. Reign Of Terror
  3. Panzer Battalion
  4. Wolfpack
  5. Counterstrike
  6. Stalingrad
  7. Into The Fire
  8. Purple Heart
  9. Metal Machine

Re-Armed (2010)ボーナストラック

  1. The March to War
  2. Shotgun
  3. Into The Fire (Live In Falun 2008)
  4. Rise Of Evil (Live In Falun 2008)
  5. The Beast (Twisted Sister cover)
  6. Dead Soldier's Waltz

概要

今回の和訳はスウェーデンのパワーメタルバンド「Sabaton」の1stアルバム「Primo Victoria」より、「Stalingrad」。

曲のテーマは、タイトルで分かる人もいるかもしれないが、第二次世界大戦独ソ戦において有名な「スターリングラード攻防戦」であり、ソ連兵側の視点で歌われている。

画像はWikipediaより引用

www.youtube.com

和訳

Stalingrad

スターリングラード

 

Fresh from Moscow
Over Volga came to comrades aid*
City in despair
Almost crushed by the führer's army

モスクワから新兵が
ヴォルガ川を越え同志を助けに来た
街は絶望的だ
総統の兵により粉砕されかけた
*スターリングラード(現ヴォルゴグラード)はヴォルガ川西岸に位置してい

 

Oh it’s colder than hell
Hitler’s forces advancing

ああ、ここは地獄よりも寒い
ヒトラーの軍隊が前進してくる

 

The sound of the mortars
The music of death
A grand symphony

迫撃砲の音
死の音楽
壮大な交響曲

 

See your friends fall
Hear them pray to the god your country denies*
Every man dies alone
And when your time comes you will know that it’s time

お前の友が倒れるのを見よ
お前の国が拒む神への彼らの祈りを聞け*
どの兵士も独りで死ぬ
お前の順番が来た時にはこれがその時だと知るだろう
*ソ連はじめ、当時の共産主義国家は宗教を弾圧し無神論を推進していた

 

Stalin’s fortress* on fire
Is this madness or hell

スターリングラードは燃えている
これは狂気なのか地獄なのか
*「~grad」は「都市」や「城」などの意味を持つため、Stalin's fortress ≒ Stalingradと捉えられる

 

(※)

The sound of the mortars
The music of death
We’re playing the devil's symphony
Our violins are guns conducted from hell

迫撃砲の音
死の音楽
我々は悪魔の交響曲を奏でる
我々のバイオリンは地獄から指揮された銃だ

(※ここまで)

 

Oh Stalingrad!
Mratnimiat!*

ああ、スターリングラード
Mratnimiat!
*造語で意味はないが、逆から読むと...(後述)

 

Are you playing?
Do you follow the conductor’s lead?
No one knows you
No one cares about a single violin*

お前は演奏しているか?
お前は指揮者の指揮に従っているか?
誰もお前を知らない
誰も一つのバイオリンなんか気にしない
*死傷者数は両軍合わせて200万人前後、その中のたった一人の死など...

 

Play the score of the damned
Know the devil within

地獄に落ちた楽譜に従って演奏しろ
悪魔が宿っていると知りながら

 

※繰り返し

雑感等

全体的に4/4拍子ながら単純なメロディーがないため、4/4拍子感がないこの曲。更にプリコーラスとコーラス以外はヴォーカルもリズムに乗せる感じではなく、全体的に不安感を煽るような感じになっている。

さて、歌詞についてだが、全体的に難しいところはない。
内容としては、宗教を弾圧するソ連側の視点のはずなのに、地獄だとかの宗教的要素が出てくるうえ、攻防戦全体を交響曲に例えるなど、なかなかに面白い歌詞となっている。
実際、ロシアのカチューシャロケットはドイツ兵から「スターリンのオルガン」と例えられるような音を出し、それに迫撃砲や銃の音などが合わさるとまるで交響曲、と言えよう。

なお、途中で出てくる「Mratnimiat」は、いかにもロシア語にありそうな響きだが、実はヨアキムによる造語。逆から読むと「Ta i min tarm」というスウェーデン語になる。※Sabatonはスウェーデンのバンド
これは訳せば「俺のはらわたを持っていけ」というような意味となる。

余談だが、歌詞中の「悪魔」は「スターリン」のことを指していると捉えることもできる。そう捉えて改めて歌詞を見るとまた違った感じに見えてくる。