パワーメタル的生活

パワーメタル中心に歌詞の翻訳を細々と、ほぼ備忘録用

Sabaton「Wolfpack」和訳

画像はSabaton Wikiより引用

トラックリスト

  1. Primo Victoria
  2. Reign Of Terror
  3. Panzer Battalion
  4. Wolfpack
  5. Counterstrike
  6. Stalingrad
  7. Into The Fire
  8. Purple Heart
  9. Metal Machine

Re-Armed (2010)ボーナストラック

  1. The March to War
  2. Shotgun
  3. Into The Fire (Live In Falun 2008)
  4. Rise Of Evil (Live In Falun 2008)
  5. The Beast (Twisted Sister cover)
  6. Dead Soldier's Waltz

概要

今回の和訳はスウェーデンのパワーメタルバンド「Sabaton」の1stアルバム「Primo Victoria」より、「Wolfpack」。

曲のテーマは第二次世界大戦(以下、WWII)における「大西洋の戦い」中の群狼作戦(Wolfpack)による商船護衛艦隊「Convoy ON 92」の襲撃。潜水艦による通商破壊という、WWIIにおける新戦術のことを歌っている。

画像はWikipediaより引用

youtu.be

和訳

Wolfpack

群狼作戦

 

(冒頭部)

GENERAL QUARTERS!
GENERAL QUARTERS!
ALL HANDS, MAN YOUR BATTLE STATIONS!*

総員配置!
総員配置!
会戦に備えよ!
*アメリカ海軍において、会戦がある際は実際にこのようにアナウンスされる。

 

To their own shore came the world war
Gleaves* and Ingham*
Leading the Bury* west

彼ら自身の海岸へ 世界大戦の中
グリーブスとインガムが
ベリーを西へと導く
*それぞれ船の名前。グリーブスは駆逐艦、インガムは巡視船、ベリーは救難艇。

 

Took the short way in, the long route back
Convoy 92
Bury, Gleaves and Ingham leading
Tankers to the west

短距離で行き、迂回して帰る
Convoy 92
ベリー、グリーブス、インガムが
タンカーを西へ導く

 

And upon the north Atlantic
Lies the silence of the seas
On a quietest night, in the darkest hour
The Kriegsmarine appear

そして北大西洋にて
海の静けさの中
最も静かな夜、最も暗い時間に
ドイツ海軍が現れた

 

Above the surface it seems quiet and calm
Deep down below the wolfpack* lurks

海上は静かで落ち着いているように見えるが
遥か深い海中では群狼が待ち伏せをしている
*「群狼作戦」だと和訳がおかしいので、「群狼」と訳した。以降、同様に訳す。

 

(※1)

To their own shore came the world war
Gleaves and Ingham leading the Bury west
In their own track came the wolfpack
Gleaves led the convoy into the hornet's nest

彼ら自身の海岸へ 世界大戦の中
グリーブスとインガムがベリーを西へと導く
彼らの跡を追い、群狼が来た
グリーブスが護衛艦隊をスズメバチの巣へと導く

(※1ここまで)

 

At the crack of dawn the second day
Bury stands in flames
Half the convoy sunk or disabled
Heading back to shore

二日目の夜明け
ベリーは炎の中にいた
護衛艦隊の半数が撃沈、あるいは無力化され
海岸へ戻ろうとしている

 

But below the north Atlantic
On the bottom of the sea
On the second night, in the darkest hour
The Kriegsmarine returns

しかし北大西洋の海中にて
海底では
二日目の夜、最も暗い時間に
ドイツ海軍が戻ってきた

 

The wolfpack surface for a second time
To make the convoy face it’s fate

群狼の二度目の作戦によって
護送艦隊に運命を受け入れさせる

 

※繰り返し

 

(※2)

Under fire, under water
May 42', when Bury did fail the test*
To their own shore came the world war
Gleaves and the Ingham leading them into death

攻撃下で、水面下で
1942年5月、ベリーがテストに落第した時
彼ら自身の海岸へ 世界大戦の中
グリーブスとインガムが彼らを死へと導く
*ベリーは短波方向探知機を搭載しており、これにより群狼作戦を防ぐことができたはずなのだが、乗組員の訓練不足により使えなかった。

(※2ここまで)

 

569 makes the contact and lead them
U-94 scores a kill in the dark
124 sinking 4 in 2 approaches
406 suffers failure on launch

569が接触して群狼を導き
U-94が暗闇の中戦果を上げる
124が2度の接近で4隻沈める
406は発射に失敗し苦しむ

 

U-569 makes the contact and lead them
U-94 scores a kill in the dark
U-124 sinking 4 in 2 approaches
406 suffers failure on launch again

U-569が接触して群狼を導き
U-94が暗闇の中戦果を上げる
U-124が2度の接近で4隻沈める
406は発射に失敗し再び苦しむ

 

In their own track came the wolfpack
Gleaves led the convoy into the hornet's nest

彼らの跡を追い、群狼が来た
グリーブスが護衛艦隊をスズメバチの巣へと導く

 

※1,※2繰り返し

 

Don’t know what’s waiting down below
The Wolfpack lurks, awaiting you
To follow, to bleed
It’s time for you to return they decide

下で何が待っているかを知らず
待ち伏せをする群狼がお前たちを待っている
次々と血を流し続け
お前たちの帰る時間だ そう決めたとき

 

Oh no! Oh no!
The Wolfpack’s waiting for them
Too calm, you’ll see
Below the surface, waits for you

ああ、そんな!
群狼は待ち構えていた
お前たちにもわかるほど落ち着き払い
水面下でお前たちを待っている

雑感等

Sabatonが海をテーマにする場合は、多くの場合スローテンポな曲調でパワフルに歌い上げるがこの曲も例外ではない。しかしこの曲が何気に面白いのはブリッジ部分で、同じような内容を2回歌うのだが、その中でたった一言「U」を足し、1/2拍を加えるということをしている。これにより(個人の感想だが)2度目の攻撃による不安感などが表現できているように思う。
それと、歌詞中では出てこないが、コーラス前の「No, no, no!」のインパクトが強い。歌詞の内容を知ってから聞くと、よりこの部分のインパクトが強く感じる。

さて、歌詞についてだが、全体的に難しいところはない。ただ、とにかくSabaton特有の「微妙な歌詞の変化」が多用されているのが印象的で、ヴァースにおいては

  1. And upon the north Atlantic
    Lies the silence of the seas
    On a quietest night, in the darkest hour
    The Kriegsmarine appear

    そして北大西洋にて
    海の静けさの中
    最も静かな夜、最も暗い時間に
    ドイツ海軍が現れた

  2. But below the north Atlantic
    On the bottom of the sea
    On the second night, in the darkest hour
    The Kriegsmarine returns

    しかし北大西洋の海中にて
    海底では
    二日目の夜、最も暗い時間に
    ドイツ海軍が戻ってきた

と、ほぼ丸々微妙な変化があって、一日目と二日目の対比がされている。
またコーラスでは

  1. Gleaves and Ingham leading the Bury west

    グリーブスとインガムがベリーを西へと導く

  2. Gleaves led the convoy into the hornet's nest

    グリーブスが護衛艦隊をスズメバチの巣へと導く

  3. Gleaves and the Ingham leading them into death

    グリーブスとインガムが彼らを死へと導く

と、どれも主語が「Gleaves(+Ingham)」で、述語が「lead(leading, led)」であり、更に文末が「west」「nest」「death」(2度目のコーラスの「test」も)でどれも同じ音韻である。そうした中で、下の方へ(つまり時間が経つにつれ)絶望的な内容になっており、悲壮感が強く漂うようになっている。

なお、「death」だけ違うように思えるかもしれないが、この曲の中ではどれも「ウェス(ト)」「ネス(ト)」「デス」「テス(ト)」と、語末の「t」は強く歌わないため、「エス」で韻を踏んでいるようになっている。

しかし、この曲は内容を知らずに聞くとあまり印象に残らない曲だが、しっかりと歌詞を知ったうえで聞くと印象が変わり、結構印象に残る。他にも「The Price of a Mile」や「The Final Solution」など、重たい内容の曲は、ただ聞いただけでは微妙だが、歌詞を理解するとその重さがよく伝わってくる。そういった、「歌詞を知ると印象が変わる」系の曲を、日本人であるがゆえにただ聞いただけではわからないというのは残念でならない。つくづく「英語圏で生まれたらよかったのに」と思う。